映画

彼もまたonce againを求めていたのかもしれない 『幕が上がる』

という事で 『幕が上がる』 正しく青春映画であり、正しくアイドル映画であり、そして正しくももクロ映画であった。本広克行監督作、という所謂「映画通」と言われる層にとってはマイナスハンデになりそうな要素は、少なくとも今作においては無視していいは…

そうでなかった人生の清算方法。その2『あなたを抱きしめる日まで』

全ての映画はロードムービーである、といういかにもありそうなフレーズ。という事で 『あなたを抱きしめる日まで』 このタイトルだけで観る気が失せる、という人も多いと思う。実際自分もそうだったけれど、結論から言うと、これは観て正解でした。 イギリス…

そうでなかった人生の清算方法。その1 『LIFE!』

なかんだかんだと年度末〜年度初めにかけて人並みにバタバタとしていた。 とはいえ別に仕事漬けになっていたというわけでもなくで、広島までPerfumeフェスを観に行ったりはしていた訳だが。ということで 『LIFE!』 ベン•スティラーというだけで 全てを許し…

8秒間に救済を求めて。『ダラス・バイヤーズクラブ』

それにしてもケイト・ブランシェットはあと3〜4つくらいオスカー像持っていきそうだ。 それはともかくマシュー・マコノヒー&ジャレッド・レトのオスカー受賞は喜ばしい。という事で『ダラス・バイヤーズクラブ』 『ファイト・クラブ』でのジャレッド・レ…

キャットファイト寸前の静かな威嚇。『アメリカン・ハッスル』

浪人して予備校に通ったり(通わなかったり)したが、当然のことながらそこで友人を作るなどという芸当を持ち合わせているはずもなく、かといって孤独感や疎外感を抱いていたわけでもなく、まあフラットに過ごしてたと思う。予備校で誰かと話すということも…

i hate reboot Tシャツ欲しいよね。『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』

もちろんメダリストには敬意を払っているし、他の選手を貶めるつもりはまったくないが、それにしても真央ちゃんのフリーはとんでもなかった。 これほど大事なのはメダルではない、という事を証明したオリンピアンがいただろうか。 バンクーバーでの里谷多英…

0.5秒のための120分。 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

十代の頃、宝島だかホットドックだかで「今、ミニシアターが熱い」「話題の映画『ストパラ』特集!」なんて記事を読んだところで「そんなのこっちじゃやってないけんね」状態。結局『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を劇場で観たのは、東京で公開されて…

泥をはねのける必要はない。『ゼロ・グラビティ』

という事で川崎アイマックスシアターで観て来た。 一部ネタバレ。というほどでもないかもしれないけど。『ゼロ・グラビティ』 宇宙開発という技術の最先端には感心する、というか呆けた顔で「すげーなー」という他ない。と同時に宇宙というフロンティアは、…

ローラ・ダーンに匹敵する破壊力を持った泣き顔を見せてくれたドーソン姉さんに敬意を込めて。『トランス』

自分の中にある映画や小説その他エンターテインメントのリファレンスから「これはアレがナニでソレなんじゃないか」という想像や予想はするもので。と言う事で 『トランス』 シャレオツな音楽と映像で彩られた犯罪サスペンスbyダニー・ボイル、という認識で…

I have a bad feeling about this『42〜世界を変えた男〜』

どうにも最初から予感はしていた。 予告編から醸し出されている「良い映画」臭。そして何しろハリソン・フォードのやる気を感じるエピソード。という事で 『42〜世界を変えた男』 いやジャッキー・ロビンソンは偉大だ。それはそれとして。 全般的にテンポ…

それがあなたの生きる道ならば。『R100』

北野武が「おいら、映画の事なんて判んねぇからよ」と言っていても素養として映画(やその他芸術)に触れて来たのは明らかであることと比べると、松本人志の場合は映画に関するリファレンスは圧倒的に少ない。 それを露悪的に自ら喧伝しているところもあった…

 そんな眼で僕を見るな!『クロニクル』

どうも個人的な今年の顔はデイン・デハーンになるのかもという予感をしつつ。という事で 『クロニクル』 正直、ただそれだけの理由で観に行ったようなもので、デイン・デハーンを愛でることができれば良いだろうという程度の期待感。 だったのだが。 劇場を…

大きくなったなあ、ボウズ。『ウォーム・ボディーズ』

特に原作の既読・未読にはこだわらないタイプだが、『アバウト・ア・ボーイ』については映画で描かれなかったニルヴァーナ、というかカート・コバーンを巡るエピソードが素晴らしいので、未読に人は是非。という事で 『ウォーム・ボディーズ』そんなニコラス…

偽装されたハッピーエンド 『エリジウム』

風呂なしアパートでクーラーもなく暑い日々を過ごしながら、高台の高級住宅街を恨めしそうに見つめていると『天国と地獄』の山崎努のような心境になったあの頃。という事で 『エリジウム』 エリジウムの存在がどういう位置づけなのか。独立した国家なのか、…

ミリ単位で向こう側へ連れて行かれる恐怖。『凶悪』

帰省ついてでに地元のミニシアターで観たわけだけど。 なんというか年老いた両親の姿を見た後だど、何ともいえない思いが募ったりもするわけで。という事で 『凶悪』 ケレンのない画面が、かえって生々しさとなってホラー的恐怖を伴って向かってくる。 空き…

やられてなくてもやりかえす。『サイド・エフェクト』/『ウルヴァリン』

何か色々とありましてほったらかしになっていたが、久々に。 観た映画もたまってしまった。 2本まとめて。という事でまずは 『サイド・エフェクト』自分が狂っていない、おかしいのは周りだ。ということを声高に主張すればするほど、周りからは「狂っている…

突然ストンと落ちることの正しさ。『欲望のバージニア』

二十数年前に日本青年館で観たニック・ケイヴは、そりゃあカッコ良くて、ああいう大人になりたいものだと思ったりもしたが、思っているだけでは理想の状態にはたどり着けない。現実はなかなかツライ。*1 ニック・ケイヴもしばらく聴いていないが、まさか映画…

クロコダイルダンディーと殺意の夏『熱波』

リスボンって何か良いよね、と思わず口に出してしまったが実際には行った事もなければ、どんな街なのかも良く判ってない。 でもリスボンという音の響きに発語の快感があるし、上手く説明できないが不思議な魅力がある街に思えて仕方がない。という事で 『熱…

夜明けとともに街は黄色く霞む。『マジック・マイク』

久しぶりに文化村のル・シネマに行ってみたが、いや久しぶりというか、そもそもここで映画を観ることはほとんどない。 何年か前に『カリフォルニア』を観た気がするが、その記憶も曖昧なくらい。という事で 『マジック・マイク』 週末の午前中であったが、観…

私たち、今会える××…『ワールド・ウォーZ』(3D)!!

パンデミック系やパニック系の映画を観ていると、その崩壊の過程で社会のシステムはどうなってるんだろうな、今どのレベルまで維持できているのかな、という事がチラチラと頭に浮かぶ。 スーパーや町並みが荒廃していくのはともかくとして、水道・電気・ガス…

 思っているよりハードなんだよ、コッチは!『エンド・オブ・ウォッチ』

逃げ回るブラピを観ようと思っていたが、気がつけばコレを観ていた。という事で 『エンド・オブ・ウォッチ』 サウスセントラルが舞台で制服警官が主人公、アフロアメリカンとヒスパニック系の抗争などなど確かに『カラーズ』と重なる部分も多い。 冒頭の車載…

いやでもチェルノってネーミングはどうかと思うよ。『パシフィック・リム』

本来なら大好物のはずなのに、何故か箸が進まない。体調が悪いわけでもないのに。という事で 『パシフィック・リム』(3D) 冒頭のシーンにはホントにワクワクした。 橋が襲われてるところや、怪獣に立ち向かう無力な戦闘機といった場面は「怪獣映画が始まる…

大人の階段昇って降りた。『ハングオーバー!!! 最後の反省会』

楽しかった日々も終わりが来る。という事で 『ハングオーバー!!! 最後の反省会』 前2作は、まったく同じパターンの繰り返しで、しかしそれがまた楽しく冒頭の「何でこんなことになってんの?」から始まる男たちの旅路も、いよいよ最終章ということらしい。 …

 ほとんどの映画は世界と折り合いのつかない男たちで出来ている。嘘だけど。『ザ・マスター』と『ハード・ラッシュ』と『華麗なるギャツビー』

という事で、しばらく鑑賞記録を忘れていたので、一気に3本まとめてドンといきます。 一部ネタバレありで。まずはこれ。 『ザ・マスター』 僕の一番好きなホアキン・フェニックスは、『グラディエーター』でも『ウォーク・ザ・ライン』でもなくて『サイン』…

居心地の悪い世界に静かに灯る光。 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

と言う事で 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』 ライアン・ゴズリング演じるルークは、最初こそ『ドライヴ』の“ドライヴァー”とのような佇まいで現れる。 バイクのスタントマンとして持て囃されているように見えながら、そこに華々しさはない。結局…

ニトログリセリンと聞いただけで震えていたあの頃。『藁の楯』

クリストファー・ノーランのヌメヌメとしたカーチェイスシーンは結構好みだったりする。ヌメヌメしたってのがどういう状態なのかは説明できないけど。と言う事で 『藁の楯』 設定や細かい辻褄の瑕疵については、思いのほか気にならない。浮いてしまうんじゃ…

 普通の男の子に戻り…ません。『アイアンマン3』(3D)

年収100万か1億かと言えば、それは当然100万側に近い訳で。という事で 『アイアンマン3』 ではトニー・スタークに「この勝ち組がっ…!」とルサンチマンを抱いているかというとそんな事はなくて、クラッシュを聴きながらアイアンマンスーツを作っている姿に…

 歪みを受け入れろ。そして俺を癒せ。『コズモポリス』

我らがリーダー夏菜子ちゃんは、好きな映画に「トワイライト」シリーズを挙げたりして、まあ何と言うか微笑ましいやら苦笑するやらというところだったりする。 そしてもちろん自分は観てはいない。という事で 『コズモポリス』 何と言えばいいのか、正直わか…

張り付いた笑顔の裏に。『ジャンゴ 繋がれざる者』

そして木綿が血に染まる。という事で 『ジャンゴ 繋がれざる者』 もはやトレードマークとすら言ってもいいような復讐譚は、爽快感を与えてくれる。160超の上映時間は(ところどころにある冗長な語り口も含めて)全く長く感じない。 確かに『デス・プルーフ』…

大人のジョン・ヒューズ映画。『世界にひとつのプレイブック』

気がつけば、プチデ・ニーロ祭り。しかしアメリカってのはそんなに病んでいるのかね、という余裕は僕たちにはなくて。という事で 『世界にひとつのプレイブック』 ネタバレチックに行きます。 ストーリー構成や展開はどちらかというと定番とも言えるもので、…