青春プレイバック、とかしている場合じゃないんだが。

レンタルビデオ店の普及前夜、って感じの頃に十代を生きていた。
映画は当たり前のように映画館で観るしかなく、過去の名作や見逃した話題作などはテレビ放映を待つしかない。
ビデオがある友達の家で録画した水曜ロードショーの『酔拳』を観せてもらったり、
新聞のテレビ欄を見て「お、今日月曜ロードショーで『タクシードライバー』やるんか!」って朝から興奮する。そんな時代だったんですわ。
宝島やスタジオボイスを読んで「最先端キッズは『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観なきゃダメ!』なんて言われても、なかなか広島で観ることはできない。「一緒や!情報仕入れても」状態。
そんな広島の映画好きの欲望を一手に引き受けていたのが「サロンシネマ」
小さな商店街の中にある映画館で、当時はポルノ映画館が併設されていたはず。中学生には敷居が高く、入るようになったのは高校に入ってからだった。とても小さな劇場だけど、いわゆるミニシアター系の作品を上映してくれるので、とてもとてもとても重宝していた。
ここはね、まず座席がすごい。ゆったりソファで、今では当たり前のようについているドリンクホルダーも完備。下手したら六本木TOHOシネマズのプレミア館の座席よりゆったりしてるんじゃないだろうか。
もちろん料金は通常価格。当時の高校生だと1000円、映画の日だと500円!!(だったと思う)
多少古びてはいるが、ゆったりソファで映画を観れるという贅沢感。
良いですよ、これは。
色々な作品を観た。『ミツバチのささやき』、『そして船は行く』(フェリーニ初体験。そして衝撃!)、『三人の女』(アルトマン初体験。そして衝撃!)、『バーディ』、『マイ・ビューティフル・ランドレット』、『アナザーカントリー』…。
ここがなければおそらく当時の広島では観ることができなかっただろう。
十代の頃に観る事ができて本当に良かったと思う。
今でも広島に行った時には時間が合う限り行くようにしている。
最近では、『バーン・アフター・リーディング』と『陽炎座』をここで観た。

広島も今ではシネコンが主流のようですね。
かつて街の中心部にあった映画館、スカラ座も朝日会館もなくなってるのは少し寂しい気もするけど、それは住んでない人間がとやかく言う話じゃない。
ただそんな中、サロンシネマ系の映画館が新しく開館したことは嬉しく思う。
それが「八丁坐」
この前『英国王のスピーチ』をここで観たけど、良い映画館です。
当然座席はサロンシネマ仕様のゆったりソファ。それに加えて座敷席のようなものまである。コンセプトが芝居小屋なんだね。面白い。
街の中心部に映画館があるというのは良いことですよ。
学校帰りにふらっと映画館に立ち寄る事ができる環境、とても大事だと思う。

夏か秋には広島に行く予定だ。サロンシネマの上映スケジュールをチェックしておかねばならない。

saloncinema-cinetwin.jp