捜査?そんなのはその辺の奴らにまかせとけ。『ブリッツ』

そうは言ってもブルース・ウィリスも最初っから禿げていた訳ではなくて。『こちらブルームーン探偵社』の頃も『ダイハード』の頃も「あれ、ちょっとヤバいかな」って感じでまだ髪の毛はあった。
その点、ジェイソン・ステイサムはもう最初っからハゲカッコいい男として登場している。すごいよね。
と言う事で
『ブリッツ』


正直なところ、映画として出来が良いとは言えないかもしれない。
脚本も何となく中途半端な印象だし、テンポも良くない。
それでも100分間飽きることなく、というよりはそれなりに楽しめたというのはキャストの魅力に負っている部分が大きいのだろうか。
型破りな主人公、線の細い相棒、頭の固い上司、ベテラン刑事…言ってみれば型どおりのキャラ設定ではある。でも、演じる役者達がそれぞれ魅力的なのでポイントが上がる。
ジェイステ(ってこんな略し方あるのか?)の兄貴は、激しいアクションはそれほど多くないにしても、やはり「らしい」感じで漢っぽさプンプン。ていうか刑事としてはヒドイよな、ブラント。殆ど捜査らしい捜査してないし。
相棒(とあえて言うけど)ナッシュを演じたパディ・コンシダインもベテラン刑事ロバーツ役のマーク・ライアンスも良かったが、やはり今回はエイダン・ギレンだね。
実はこの映画を観ようと思ったのは予告編で彼が出ていることを知ったからだったりする。
偶然テレビで見た海外ドラマに出ていて(『刑事トム・ソーン』今回、新聞記者役をやったデヴィッド・モリッシーが主演)ちょっと気になっていたんですよ。
何と言うかイギリスっぽい空気をまとってる感じ。爬虫類系イケメンとでも言おうか、結構好きな顔。
ちょっとホモセクシャルな感じもあったり、知性的なようでいてクレイジーな感じも醸し出しつつ、なかなか頑張っていたんじゃないだろうか。まあサイコキラー的な系譜でいけば、かなりレベル低い犯人キャラだったけど。


と言う事で以下ネタバレ含む。

ネタバレって言っても犯人は最初っから(ていうか予告編から)判っているし、アッと驚く展開がある訳でもないんだけどね。

刑事ものではあるが、サスペンスやミステリー的展開はほとんどない。
そもそも捜査らしい捜査してないでしょ、彼達。
ブラントはパブでタダ酒飲むし、推理らしい推理をする訳でもなく情報屋から(乱暴に)聴きこみをするくらいだ。
そもそも情報屋の方がしっかり捜査をして犯人にたどり着いてる有様だ。膝は潰されるし、酒はおごらされるし、それでも犯人にたどり着いてトイレで殺されるパジャマの人、彼こそ刑事の鏡ではなかろうか。
婦警フィールズの危機を命がけで守ったのも不良の少年だしね。
でもラストの解決方法はなかなか良かった。
ワイスが追っかけているのがブラントじゃなくてナッシュなんだろうな、というのは想像できたけど、まさか私刑を執行するとは思ってなかった。
法よりも正義を選ぶっていうかね。ブラントとナッシュの共犯関係がここにきてグッとクローズアップされていてちょっとゾクゾクした。
あとは妻を亡くしてズタボロになっていたロバーツが、ビシっとスーツを決めて仕事復帰してきた場面も好きだ。
ワイスに殺害される場面でも、ベテラン刑事としての意地を感じる抵抗が見れたし。

そんな感じで色々と不満に感じる部分も多い映画だけど、キャストの魅力もあって楽しめるし、正直嫌いな作品じゃない。イギリスっぽい空気はあるし、音楽もかっこいい。タイトルバックと終盤の駆けっこシーンで流れた曲、カッコ良かった。


と言う事で、個人的にはエイダン・ギレンを観に行った感じなのでそれなりに満足。
今後の活躍に期待したいところだ。多分、それほどブレイクしないと思うけど。
そもそもエイダンなのかアイダンなのか。