バカラのシャンデリアに集う夜空の虫たち。「神聖かまってちゃんLive11/13(日)@恵比寿ガーデンホール」

ツアー中に2度も参戦するなんてモリッシーとオアシス以来だ。どれだけファンなんだって話だがチケットが取れてしまったのでニコファーレに続いて恵比寿にも神聖かまってちゃんを観に行った。新参者としてはニコファーレが素晴らしいLiveだったのでかなり期待してガーデンホールに向かったわけです。ホロ酔いで。

のだけど。
これが噂の「糞Liveバージョン」か、というのが正直なところ。
まさにコンディション次第で出来不出来が大きく左右するというのを身をもって実感したというところだろうか。
ニコファーレで心動かされた要素、それが何かは良く分からないが今回はsomethingが足りない気がした。いや足りない。

ニコファーレでやらなかった「夕暮れメモライザ」や「僕は頑張るよっ!」が聴けたのは良かったんだけど、(この曲に限らず)正直ギターはグダグダだし音も酷いもんだった。
ギターのチューニングが出来ていなくて曲を中断してやり直したりというのは、まあ想定内だしそれは別に良いんだけど、音がね。音量は問題ない。身体にビシビシくる音を体感するのもLiveの醍醐味だ。しかし今回のはなんか音がバラバラな感じ。残念ながらほとんどの曲が心地よいノイズにはなっていなかった。
これが会場の作りに起因しているのか音のセッティングが悪いのか技術的・専門的な事は良く分からないんだけど、単純に「聴き取り辛いなあ」というのが偽らざる気持ち。
せっかくの初披露であった「友達なんていらない死ね」も、一瞬これ何の曲やってんだっけ?という感じになってしまったのは残念。


ではまるっきり楽しめなかったのかと言うとそういう訳でもないのがまたヤヤコシイ話で。
ギターのチューニングにもたついてる様子やグダグダとしたMCに笑ったり(苦笑含む)してたわけだけど、そんなグダグダの直後に曲に入った瞬間、ガラリと豹変する、の子の姿には素直に「カッコイイな」と思える。『僕は頑張るよっ!』のグタグタのギターソロにもグタグタなりに迫力を感じた。みさこさんのドラムも、とてつもなく素晴らしいパッションを感じさせてくれたしね。


個人的なセットリストでのハイライトは「聖マリ」と「夜空」だろうか。
特に「聖マリ」は始まる前に、の子が「クラフトワークだ!テクノだ!」と叫んで始めていたが、確かにテクノというかニューウェーブというかそんな感じのカッコよさがあって、音に浸れる時間を与えてくれたと思う。mono君のシンセドラムを叩く様もグっとくるものがあった。
「いかれたNeet」から「夜空」への繋がるところも好きだ。これも完璧な出来(というのがあるのかどうかは別にして)ではなかったと思うけど、それでも曲の終盤にはいわゆる「ホーリー感」を味わえたので満足。
と言う事は、どちらかと言えば打ち込み系の曲の方が今回は出来が良かったという事か。ふむ。


アンコール開始直後の一幕について。
ちばぎんが出てきて、続いてみさこさんが登場。客のリクエストに応じてベースとドラムでセッションを始める。
そこへmonoが出てきたが何故かすぐに引っ込む。(後になって「消えた理由は聞かないで下さい」と思わせぶりな事を言っていた。しかもそれをしつこく言うので余計に気になってしまう)
ほどなくして、の子がカクカクしたロボットダンス的に登場してきた訳だけど。
まあ普通のバンドだったらここでギターを取り即興演奏に入って客盛り上がる、みたいな展開になるところだが。
もちろんそんな事はない。
の子は「こんな事やってる暇あったら1曲できるだろ!」と至極真っ当な意見でふたりを制する。「時間ないんだからよ!」
という流れで「アルティメット・レイザー」に入っていった。
まあ、これがかまってちゃんなのかなって気がする。上手く言えないけど、「らしい」流れだと思った。monoが途中で消えたのもこの辺に理由があるのかな、とボンヤリ思ったり。

そしてラストは「ちりとり」
ニコファーレほどではないにしても今回もこの曲は聴かせる。バイオリンとの相性も良く(サポートメンバーのヒビさんの動きが愛くるしい)、終わりよければ全て良しという気持ちにはさせてくれた。


という事で正直「良いLiveだった」という訳にはいかなかったが、このバンドの本質というか「今の姿」に触れる事ができたような気がしている。それはそれでひとつの体験として捉えておきたい。
まあ、今日がかまってちゃん初体験だったらまた印象違うんだろうけど。


さてニコ生のタイムシフトでも見るか。