三白眼気味のその瞳に乾杯。エヴァ・グリーン賛歌。『ダーク・シャドウ』

という事でいきなりですが
ダーク・シャドウ

ティム・バートン&ジョニー・デップのコンビ作を観るのは『スウィーニー・トッド』以来、というかバートン監督作とジョニデ出演作自体しばらくご無沙汰だった。
今回はクロエ・グレース・モレッツも出てることだし、久々に観ようかなという気にさせてくれる作品だった。
けど。

正直ノリ切れなかった。前半のテンポの悪さは後半取り戻すし、終盤なんかは良い感じではあったんだけど。
オリジナルがテレビシリーズである事が関係しているのかどうか、全体的にダイジェスト的になってしまっている気がする。
ある種のタイムスリップモノというか、エイリアンコメディというか、ソレ的ドタバタはほぼ予告編で出しきっている感じ。しかも紋切り型で面白みは少ない。
バーナバスとアンジェリークのアクロバティックなSEXシーンも、こうちょっと滑ってるというか。事後のカットは面白かったけど。
もちろん突然現れた異質なモノの存在が、当初は混乱を生みながらもやがては崩壊している家族の絆を取り戻す、というようなストーリーをティム・バートンに求めていた訳じゃないけど、それにしてももう少しドライブ感が欲しいというか。
どうもね、バートンがリキ入ってないんじゃないかって感じなんだよね。登場シーンやヒッピー達との場面でのバーナバスの「悪行」なんかはらしいと言えばらしい。その辺は嫌いではない。

キャストはジョニデもまあ楽しそうにやってるし、ミシェル・ファイファーも悪くない。
クロエちゃんは思ったより出番が少ないというか、まあ魅力は振りまいていたけど物足りないと言えば物足りない。
物足りないと言えばクリストファー・リーも、確かポスターで結構フィーチャーされてような気がしてたんだけど、ちょっとしか出番なかったね。アリバイ的に使っただけか、という印象は否めない。
ジャッキー・アール・ヘイリーのヨレヨレおっさん振りは良い感じだった。誰かが言ってたけど、怪しいオッサン枠としてこれから活躍して欲しいです。

で。ですよ。
中でも素晴らしいのがアンジェリークを演じたエヴァ・グリーンです。
エヴァ・グリーン120点!!
もしかしたらバートンは途中からバーナバスよりアンジェリークに感情移入しているんじゃないかと思ってしまうくらいだ。
もうこれ主役アンジェリークでしょ。


アンジェリークが出てきているシーンの方が面白いんだもの。冒頭で床拭きながらジトーっとした目でメラメラ嫉妬の炎を燃やしているところからもう彼女に釘付け。
町の人気物となって張り付いた笑顔を振りまいたり、ツンデレ状態でバーナバスを攻めたてたり、ラストのバトルもどちらかと言うとアンジェリークの方を応援してしまいそうになる。
決して豊満でわがままなbodyにだけに惹かれた訳ではない。いやそれもあるけど、やはり一番はあの瞳、視線でしょうね。ちょっと三白眼ぎみな視線と時おりゆがめる口元。
かっこいいよ!姐さん!

バーナバスとジョゼット/ヴィッキーの悲恋よりも、アンジェリークの文字通り魔女的なジェラシーとそれゆえの不器用で乱暴な愛の方がグっときてしまう。
最後までバーナバスに冷たくされながらも自分の愛を証明するかのように自分の心臓を取り出すシーンなんて涙ものじゃないですか。


と言う事でエヴァ・グリーンの三白眼の瞳にやられたという意味では、彼女を観るだけでも価値のある作品だという感じでしょうか。