この任務が終わったらサイン貰うんだ…。『アベンジャーズ』

例えば「デビルマンvsマジンガーZ」なんていっても実際にデビルマンマジンガーZが闘うことはなかったりして、子供ながら何となく騙されたような気持になった事を思い出してみたり。

と言う事で
アベンジャーズ


キャラクター総出演作品らしい、登場人物それぞれに用意してある見せ場が、とにかく楽しい。アガる。
確かにアイアンマンが場をかっさらって行く感はあるが、思わず「真面目か!」とつっこみたくなるキャプテン・アメリカを始めソーにもホークアイにも「いやっほおおおおおおおっ!」ポイントがあって、2時間半はあっという間といっていい。
自分は『マイティー・ソー』と『ハルク』については未見の状態で臨んだが、それでも問題なく作品世界に没入できたし、何しろハルクの登場シーンでこれほどアツくなれるとは自分でも意外だった。

以下はネタバレも含みつつ。

終盤のバトルシーンでバイクでトロトロと現れたかと思ったら、「今日は怒っていいんだよ、バナー」「いつも怒っていたさ」のセリフでハルク化してからの活躍。
チタウリの巨大ムカデを力づくで制止、ロキをフルボッコ、そしてアイアンマンを最後に助けるなどなどかっこいい場面*1が沢山ある。結果的にマーク・ラファロのキャスティングは成功だったのではないか。知的イメージではエドワード・ノートンに敵わないかもしれないが、ラファロの少し朴訥としたオーラが良い感じに作用していたような気がする。


それからブラック・ウィドウ。
アイアンマンの時にはそれほど感情移入しなかったけど、今回はとても良かった。カッコ良かったなあ。
冒頭の拷問シーンのアクションもさることながら、ロキと対峙する場面なんか「羊たちの沈黙」状態で妙にゾクゾクした。
他のメンバーとちがってスーパーパワーを持っているわけでもない彼女が、生身で戦いの場に飛び込んでいく矜持。


そしてもうひとり、素晴らしい矜持をみせてくれたのがエージェント・コールソン。
ロキとの対決(というには余りにも無力な一撃ではあったが)の後に、フューリーに語った「これをきっかけに…」と言い残して最期を迎えたフィル・コールソン。*2
途中トニー・スタークがフィルに「休暇を楽しみなよ」的な事を言っていたりするくだりもあって、この捨て身の姿がポイント切り替えの役目を担っていた。


ヒーロー大集合の中にあって、それぞれのキャラクターに目配せしつつ、こういった脇役にまでしっかりと見せ場を用意してあるのは中々大変だったと思うし、そこは上手く出来ていると思う。*3
バートン/ホークアイを前半に敵役側に配置したもの成功していて、前半は部外者としてしっかりホークアイの存在を示しつつ、ラストのバトル時にはアベンジャーズメンバーとして活躍をするというカタルシスを与えてくれる。
正気に戻った時に「何人殺した?」というように、ホークアイに負債の部分を与えることになる必要もあったんだろう。


ロキも良かった。マイティー・ソーを観ていないのでバックグラウンドは良く分かっていない部分もあるんだが、特に前半での不敵なオーラはカッコ良かったし、小ズルイ感じが嫌味なく敵役として立派な存在感を示していた。
終盤の戦いの中でソーに「ともに闘おう」的な事を言われた場面は「ほう。それはそれでアツい展開だな」なんて思っていたら、「感傷的すぎる!」といって一蹴するロキさんをみて、思わず「そうでなくっちゃな!」なんて妙な感情移入をしてみたりして。トム・ヒドルストン、良いですね。


と言いながらも。
やっぱり何だかんだとトニー・スターク/アイアンマンですね。
彼が出てくるとやっぱり画面が華やかになってグっと興奮度がアップするのは致し方ないところでしょうね。
「バナーは必ず来る。それまで粘ろうぜ」ってセリフをさらりと言うあたりも良いし、ラストの捨て身の突入は定番ではあるがそれでもポッツへの電話やジャービスとのやりとりは琴線に触れる。
ハイライトはやっぱりマーク7装着場面かなあ。
六本木の劇場では陽気なアメリカ人さんがいなかったので皆静かに観ていたけど、心の中で「かっけええええええええ!」って叫んでいたことだろう。アメリカの劇場で観ていたら「わーお!」「ヒュー!」「いやっほおおおおおおおおおい!」「いっけえええええええ!」の連発になるんじゃなかろうか。
いやートニー・スターク流石ですわ。

さて。
マイティー・ソーを予習してからもう一回観てくるかな。

*1:最後のおまけシーンでシャワルマを美味しそうにニコニコしながら食べてるのも何かツボった。

*2:実は死んでなくて、ラストにキャプテンアメリカにサイン貰いに出てくるんじゃないかという期待もあったんだけど…。まだその可能性は捨てきれないですが。

*3:スタン・リーのカメオ出演は定番だとしても、ハリー・ディーン・スタントンにはちょっと驚いた。レポマンのオマージュか?違うだろうけど。そして冒頭近くのナターシャ拷問シーンのロシア人、イエジー・スコリモフスキだったんだね。