バカばかしい事をやるにも格というものがあって…。『エクスペンダブルズ2』

やっぱり「コン・エアー」より「ザ・ロック」の方が好きなんだよね。

と言う事で
『エクスペンダブルズ2』

ラストのクレジットに流れた某曲だけはいただけなかったが、前作はとにかく楽しくてそれでいてスタローンの手練のようなものも感じて、よくできたエンターテイメントだった。
今作についても、もちろん楽しくて前作よりも賑やかになってはいて「細けぇこたぁ良いんだよ!」精神はそのままではある。
アバンタイトルの数分間(10分近く?)だけでもうお腹一杯になるくらいで、とても楽しめた。
当然シュワちゃん、ウィリス、チャック・ノリスのそろい踏みには終始「わはははははは!」って感じの顔で画面を見つめていた思うくらい。
ドルフ・ラングレンのお茶目さも楽しい*1し、いやそれにつけてもヴァン・ダムの素晴らしさよ!
まあヒロインがなんというかイマイチ華を感じないというのはさておき、というかそれはそれでむしろ正しいという気さえする。

ということで、だからもちろんこれは観て損は全くない訳だけど…。

けどね。
って感じもあるわけですよ。


基本的には前作とまったく同じといっていい作り。
非道であるがどことなく魅力的なオーラを持った悪役がいて、ソイツを圧倒的な身体能力と銃火器で問答無用でぶちのめす。
全く同じといって良い。
ましては今回はキャストも豪華になっていて、これで面白くないわけはない。というところ。
で面白い。面白いんだけど、観ている時から何となく違和感というかピリっとしまらない感覚を抱いてしまった。
それが具体的にどこがどうと指摘できないのがもどかしいんだけど、何かね、こう違うんですよ前作とは。
それはスタローンとサイモン・ウエストの差、としか言いようがない。
おそらくほんの僅かな差なんだと思うが、その差は決定的な「格の違い」となっている。ような気がする。いや論理的に説明できないんですけどね。

ひとつひとつのアクション・シーンはカッコ良い。教会でのステイサム兄貴の見せ場とか冒頭のジェット・リーの見せ場とか、もちろんチャック・ノリスの反則のようなジェノサイドぶりとか。それぞれ喝采をあげたくなるほどのシーンが続いている。
でも全体的に漂う空気に緊張感が足りないような感じ。
前作を観た時にあった「乱暴でバカバカしい映画でありながら、端々に観られる手堅さ」のようなものが今作には足りない気がする。
多分、ほんのちょっとした違いだと思う。だがその違いは大きい。

まあ、しかしヴァン・ダムですよ!
正直ヴァン・ダムにそれほど思い入れも無いし、下手したらちゃんと出演作を観た事ないんじゃないかという人間が萌え/燃える資格はないのかもしれないが。
いや、カッコ良かった!
役名がずばりヴィラン*2ってのも含めて素晴らしいキャラクターだった。登場シーンからラストまでまさに悪役を真っ当していて、ラストの死に様まで良い仕事をした。
ヴァン・ダムとスタローンの対決だけでも充分観る価値あり、と言いたい。
シュワちゃんやウィリスの登場は確かに派手だし、「あいるびーばっく」に対して「戻りすぎなんだよ!お前はっ!」というツッコミなど楽しいのは楽しいんだけど、圧倒的にグっときた度で言えばヴァン・ダムに軍配をあげたい。

と言う事で3はスタローン監督でお願いします。

*1:だからこそ、ジェット・リーには終盤に再登場して欲しかった。ドルちゃん寂しそうだったじゃないか。

*2:あとヒロインの役名がマギー・チャンとか…。