普通の男の子に戻り…ません。『アイアンマン3』(3D)

年収100万か1億かと言えば、それは当然100万側に近い訳で。

という事で
『アイアンマン3』

ではトニー・スタークに「この勝ち組がっ…!」とルサンチマンを抱いているかというとそんな事はなくて、クラッシュを聴きながらアイアンマンスーツを作っている姿に魅力を感じている。

アベンジャーズ』を経て3作目となった今作は、トニー・スターク/アイアンマンの無双っぷりにカタルシスを味合うという意味においては確かに少し物足りなさがないとは言えない。
アメコミヒーロー者御馴染みの、ヒーローであることの苦悩的な足かせも、ことアイアンマンシリーズには不要な気もしないではない。
新作スーツは(しかしマーク42って!)機能は盛りだくさんだが終始不安定で、そのこともあって全編を通じて圧倒的な強さで戦うというより、脆さの方が目立つ感じ。
やはりアイアンマン・スーツは単なるスーツであって、道具/マシンなんだなという事を改めて知らされたというか。
遠隔操作という機能は確かに便利すぎるくらい便利だけど、ちょっと醒めるところはある。
ジャービス!あと何人だ?」とか言ってて、リモコンだったんかい!という思いはちょっとあった。

それでもパーツが遥か彼方からトニー・スタークのもとに飛んできて徐々に装着するところ*1や、ジャンピング合体なんかにはアホみたいに興奮したりもする。

それからペッパーの活躍ね。
アイアンマンスーツを「着させられて」る姿も、何気に様になっていたりするし、ラストの「アレ」には予想外に盛り上がってしまった。
よくよく考えたら、ペッパー最強?

「さらば、アイアンマン」という惹句はいわゆる”なんちゃって”ではなかった。
ボロボロのアイアンマンスーツを引きずりながら、最終的には蘇生と再生というゴールにたどり着いたトニー・スタークは、その胸のかけらを文字通り取り除くことで「普通の男の子」に戻ったのだろうか。
アークリアクターも必要のない正真正銘の生身の人間となったトニー・スタークは、あの”アイアンマン花火”*2とともにヒーローである自分と決別したのだろうか。

ブルース・バナーのお悩み相談室の後に、「ところでさ、マーク100が出来たんだけど見てくれるかな?」とか言ってる気がしてならない。

*1:当たり前だけど、ちゃんとマスクは一番最後にやってくる

*2:あれはやっぱり哀しいシーンだった。火花の美しさがより一層…。