やられてなくてもやりかえす。『サイド・エフェクト』/『ウルヴァリン』

何か色々とありましてほったらかしになっていたが、久々に。
観た映画もたまってしまった。
2本まとめて。

という事でまずは
サイド・エフェクト

自分が狂っていない、おかしいのは周りだ。ということを声高に主張すればするほど、周りからは「狂っている」ようにしか思われないというジレンマ。
というあたりの描写は、さりげないが良く出来ていると思う。
終盤の展開は、しっかりとカタルシスを与えてくれるし、まあ確かに「倍返しだ!」をどうしても想起してしまうのは致し方ないところで、それはともかく100分でちゃんと収まっているのが何より素晴らしい。

ルーニー・マーラも冷静にみれば美人なのかそうでないのか、一瞬判らなくなるタイプの顔だが、いやしかし、良い感じの悪女ぶりであった。
ちょっと野村芳太郎監督作『疑惑』の桃井かおりを思い出したりして、そうするとキャサリン・ゼダ・ジョーンズが岩下志麻に見えてくる。嘘だけど。それにしても、ああいうネタを放り込んでくるとは思わなかった。

これで引退というソダバーグ。実のところ熱心なファンというわけでもないし、未見の作品も多いんだけど、こういう小品というか地味というか、それほど派手さのない作品は割と好みだったりはするので、宮崎某の引退よりは数倍残念だったりはする。


続いて。
ウルヴァリン

いわゆる「ヘンテコなじゃぱん」という描写は皆無、とは言わないが、ひとつひとつを指摘するほどのものではない。
「あ。福山駅前の天満屋?」「これ…鞆の浦か!」という情報は、たまたま気がついた故のノイズであって、つまりは邪魔にはならず、全体的に違和感のない程度に収まっていた。
津田寛治似の男の日本語とか葬儀シーンでのマシンガンとか、気にならないと言えば嘘ではあるが、それを瑕疵としてあげつらうことは意味がないように思う。

一番の収穫は赤毛の福島リラだったかもしれない。
アメコミのキャラクターのようで魅力的だったし、とても印象に残る活躍だった。ファニーなフェイスが一層かわいらしい。
真田広之の台詞が所々、時代劇調であったのは意図的な遊びだろうか。

という事で楽しめましたよ。
ヒュー・ジャックマンのいい人っぷりに全てを許したい。