どんな場所でも戦える武器。『Perfume 4th Tour in Dome』12/25 東京ドーム

という事で言ってきました東京ドーム。

今回は追加席での参戦。場所はライトスタンド上段、ポール近くあたり。
東京ドームは野球観戦でも余り来る事がない。それがよりによってライトスタンドに座ることになろうとは。いっそカープユニでも着てくればよかった、などと見慣れない風景を味わいながら開演を待つ。

座席位置としてはメインステージ、花道、出島、サブステージの全てから等しく遠い。メインステージもほぼ真横から観る形になり、決して良席とは言えない。
しかし会場全体が見渡せる眺めは、3人と45,000人をまとめて観る事ができるもので、それはそれで印象的な風景となった。

もうネタバレは良いんだろうか。良いんだよね。
開幕の”enter the sphere”、天井から降りてくる3人の姿の神々しさは、京セラドーム初日と同じだ、この登場の仕方は何度体験してもカッコいい。会場全体に嬌声とハンドクラップの音が広がる。
ところで。この日はハンドクラップ率がかなり高かった気がする。楽しみ方にルールはないとは言うものの、やや条件反射的な反応のような気がしないでもないでもない。いや、自分だってやりましたけどね。
さて。
いつも言っている事だけど、MCのgdgd&ほわ〜んとしたノリ、そしてP.T.A.コーナーの「おかあさんといっしょ」状態、そういった部分と曲を演っている時のギャップにはクラクラさせられる。
「のっちからクリスマスプレゼントもろたんよ」とかいったやりとりから、その直後にはバシーッとキメて踊っている。そしてそのどちらもがPerfumeだ。
最近の個人的お気に入りとなっている”だいじょばない”は、いつもならのっちのカッコよさに注目していたけれど、この日はかしゆかのバッテンボーズのクールさに目を奪われた。かしゆかが近くにいる場面が多く、どうしても彼女を観る機会が多くなっているのだが、”ふりかえるといるよ”でも、終盤のやわらい動きの流れから生まれるグルーブ感のある手足の動きが素晴らしい。上手く説明できないけど、こう肩がクイっと入ったりして、まあとにかく良いのです。
あ〜ちゃんのテンションは京セラ初日の暴走モードと比べれば落ち着いている。いや、もちろん比較的に、ということではあるけれど。
あ〜ちゃんの言う事を聞く」、この日もこの心得をきちんと守って「サンタ、トナカイ」のかけ声にあわせて身体を動かす。京セラ初日からはバージョンアップしていて、新たに「雪だるま」が追加されていた。これが予想以上に楽しい。悪戯っぽい顔で「ゆっきだるま!」とやる姿の微笑ましいこと。
自分のいたブロックは、序盤は動きの少ないエリアだったけど、このP.T.A.コーナーで完全に暖められた気がする。

スタンドからの眺めは想像したよりもレーザー演出の派手さなどは感じられなかった。飛び交うレーザーやライト、モニター映像など美しいことは間違いないが、やや控えめの印象。そういう意味ではJPNツアーの方が、派手さやギミックに溢れていたのかもしれない。
しかしそれは重要な事ではなくて。
この日感じたのは、3人が東京ドームを自分たちのステージとして完全に「モノにしている」という事だ。その大きさや観客の多さに圧倒されることもなく、完成されたパーッケージとしてのエンターテインメントを魅せてくれている。
ソニマニ、京セラで感じた「レベルが上がっている」という印象は変わらない。
スタンドから見える3人は、確かに米粒のように小さかったけれど、それでも45,000人と向き合っている3人の存在感のデカさ。スタンドから観ることでその印象は一層強くなったのかもしれない。
メインステージにいても、サブステージにいても、トロッコに乗っていても、とにかく何処にいても3人が近く感じられたのは気のせいではないと思う。
モニターの位置が真横だったので、観る機会が少なくなったということもあるが、この日は遠くにいるときでも、その遠くにいる姿を観ている事の方が多かった。それでも疎外感を抱くことはない。

”Party Maker”こそハンドクラップが相応しい曲だ。アルバムで最初聴いた時は、あけすけなタイトルに少し違和感を感じていたが、聴いていく内に印象は変わっていったし、何しろLIVEでの破壊力が高い。「ぱーりーめーかー!」で得られるカタルシス

ポリリズム”が定番曲であって、LIVEで観たいセットであることには疑いはない。しかし仮に”ポリリズム”がなかったとしても不満を感じなかったのではなかろうか。とも思う。”ポリリズム”でアガったのは事実だが、しかし銀紙が発射されたのは”チョコレイト・ディスコ”のラストであった事が、何となくその答えなのかもしれない。いや、”ポリリズム”観たいけどね。
”MY COLOR”の「せーのっ!」は相変わらす素晴らしい。「一回しかやらないからね」の台詞がなくなったのは少し残念だけど、それでも一斉に挙がる手のひらは壮観だった。と同時に「これで終わってしまう」という感傷もある。
ラストの挨拶では、かしゆかが涙ぐみながらこう言っていた。「この3人で良かった」
単純でありきたりなフレーズかもしれないが、彼女から発せられることで琴線に触れる。触れまくる。
あ〜ちゃんはいつものように泣きながらの挨拶だったけど、でもそこには自信に満ちた様子が伺われた。

戦う武器は手に入れた。
準備は整った。いつ何時、何処で誰とでも勝負できる。

もちろんそんな事は言ってなかったけど、そういう力強さを含んでいるように聞こえた。
という一方で「(みんなのこと)信じとるけんね」と、思わずこちらがアワアワしてしまうような事を言うから困る。

「それではPerfumeでしたー!」の一言で一度舞台を去ったあとに待っていたのは、アンコールというよりはエピローグというのが相応しいエンディング。
”Dream Land”
3人の表情は、穏やかであるとも言えるし、またどこか現実離れしているようにも見える。特にかしゆかの眼差しが印象的で、まるでアンドロイドのようなその瞳は、哀しさを帯びているようだ。夢の国は、この3時間だったのか。それとも3人が帰っていく場所なのか。
いずれにしても3時間はあっという間に終わった。いつもの事だ。

明るくなった東京ドームを出て、そこにあったのは満員電車という現実だったが、まあよい。

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