エド・ハリスのオーラが映画を救った…か? 『崖っぷちの男』
何だかんだで約一か月ぶりの映画。
その間は、工場夜景撮影でプチ遠征に行ったり野球を観に行ったりしていた。
そうこうしている内に話題作・期待作が目白押しになってきたりして。
と言う事で
『崖っぷちの男』
基本的に鑑賞した直後に感想を記すことを自分に課していたんだけど、ウダウダしている内に一週間経ってしまった。
さて。特に期待もせずに観にいった作品。
正直、脚本というか展開については穴だらけ、隙だらけ、綻びが目立つというのが第一印象。
であるにも関わらず、それなりに100分間楽しめるという不思議。
ホテルの窓に立つ男とそれを説得しようとする刑事。そして同時進行していくもう一つの動き。絡み合うストーリー。この手のタイプは断片がカチっと重なった時のカタルシスが魅力のひとつになるんだけど、今作については、それほど緻密な作り方がされている訳ではない。
所々の伏線は、「これ、実はアレがナニしてソレになるんでしょ?」って感じで、実際驚く部分は少ない。
とは言うものの、(細かい粗は気になるにせよ)一連の流れはそれなりの緊張感を持って見ていられるし、どう展開していくのかなと興味を惹く作りにはなっていたと思う。
キャストもサム・ワーシントンなかなか頑張っていたんじゃないでしょうか。エリザベス・バンクスは大門サングラスが似合っていたし、ちょっとアンバー・ハード風ビジュアル*1は好みではある。
エドワード・バーンズのエドワード・バーンズである事を忘れてしまうような存在感についても、この作品については評価をしたい。
でジェイミー・ベル。大きくなりましたなあ。良い面構えになってきました。
そういったキャスト陣の中でも作品に気品を与えているのが、出番は少ないが流石のオーラを発揮しているエド・ハリス。
もう登場シーンから「あ…。コワイ、コノヒト」と思わせる。煙草の煙を吐くだけでおしっこチビってしまいそうだ。
ただそういったエド・ハリスのオーラに比して、ダイヤモンドに関するやりとりは、ややスケールが小さいような気もする。
なんというかセコイというか。保険金詐欺的な悪事っていうのがね…。
全体的に「いや、こんなんで良いのか??」という箇所が多い作品ではある。
ジョーイとアンジーのビル侵入組の若々しさは良い*2としても、監視カメラから逃れるためのカモフラージュ方法はメタルギアソリッドの段ボールかと思うくらいのバカバカしさだった。
いやそれともあれ実際に有効な方法なのか?
ホテルのボーイの正体や主人公があっさりとシャバに出てくるあたりの「ヌルさ」を見ても、決して頭の良い作りになっていないのは事実。
だが。
そういったヌルさは、同時に判りやすいカタルシスを与えてくれてるとも言えて、頭の片隅で「これ、大団円って事でいいのだろうか?」という疑念を抱きつつも、”ポリス・オン・マイ・バック”を聴いた後に劇場を出るころには、不思議な満足感を得ているのでした。