ほとんどの映画は世界と折り合いのつかない男たちで出来ている。嘘だけど。『ザ・マスター』と『ハード・ラッシュ』と『華麗なるギャツビー』

という事で、しばらく鑑賞記録を忘れていたので、一気に3本まとめてドンといきます。 一部ネタバレありで。まずはこれ。 『ザ・マスター』 僕の一番好きなホアキン・フェニックスは、『グラディエーター』でも『ウォーク・ザ・ライン』でもなくて『サイン』…

居心地の悪い世界に静かに灯る光。 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

と言う事で 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』 ライアン・ゴズリング演じるルークは、最初こそ『ドライヴ』の“ドライヴァー”とのような佇まいで現れる。 バイクのスタントマンとして持て囃されているように見えながら、そこに華々しさはない。結局…

ニトログリセリンと聞いただけで震えていたあの頃。『藁の楯』

クリストファー・ノーランのヌメヌメとしたカーチェイスシーンは結構好みだったりする。ヌメヌメしたってのがどういう状態なのかは説明できないけど。と言う事で 『藁の楯』 設定や細かい辻褄の瑕疵については、思いのほか気にならない。浮いてしまうんじゃ…

 普通の男の子に戻り…ません。『アイアンマン3』(3D)

年収100万か1億かと言えば、それは当然100万側に近い訳で。という事で 『アイアンマン3』 ではトニー・スタークに「この勝ち組がっ…!」とルサンチマンを抱いているかというとそんな事はなくて、クラッシュを聴きながらアイアンマンスーツを作っている姿に…

 歪みを受け入れろ。そして俺を癒せ。『コズモポリス』

我らがリーダー夏菜子ちゃんは、好きな映画に「トワイライト」シリーズを挙げたりして、まあ何と言うか微笑ましいやら苦笑するやらというところだったりする。 そしてもちろん自分は観てはいない。という事で 『コズモポリス』 何と言えばいいのか、正直わか…

くまもんと踊るクワトロの夜。4/4(木)スコットとリバースと仲間たち@渋谷CLIB QUATTRO

そういえば『クラウドアトラス』を結構前に観たんだけど、今更感想を書くのも面倒なので短めに。 ハッタリ気味の「壮大な設定」に反して、とてもシンプルな作りなので長い上映時間も全く苦にならない。エディー・マーフィーばりに七変化するキャスト達は、み…

張り付いた笑顔の裏に。『ジャンゴ 繋がれざる者』

そして木綿が血に染まる。という事で 『ジャンゴ 繋がれざる者』 もはやトレードマークとすら言ってもいいような復讐譚は、爽快感を与えてくれる。160超の上映時間は(ところどころにある冗長な語り口も含めて)全く長く感じない。 確かに『デス・プルーフ』…

大人のジョン・ヒューズ映画。『世界にひとつのプレイブック』

気がつけば、プチデ・ニーロ祭り。しかしアメリカってのはそんなに病んでいるのかね、という余裕は僕たちにはなくて。という事で 『世界にひとつのプレイブック』 ネタバレチックに行きます。 ストーリー構成や展開はどちらかというと定番とも言えるもので、…

空虚な瞳に乾杯『レッド・ライト』

決してイケメンとは言えないかもしれないが、それでも憧れる顔というのはあって。 例えばトム・ウェイツはどちらかと言えば猿顔ダッタリする訳だが、明日からこの顔ね、となったらそれは結構ありがたかったりする。いや、ロン・パールマンまでいくとちょっと…

春のウィリス祭り(2) 痛い思いをしてるのは。『ムーンライズ・キングダム』

ジョン・マクレーンを観た翌日に向かったのは日比谷シャンテ。 ここで映画を観た後にガード下で呑むのがデフォとなっています。と言う事で 『ムーンライズ・キングダム』 W・アンダーソンは『天才マックスの世界』を観て*1名前を覚えておこうと思った監督。…

春のウィリス祭り(1) 『ダイ・ハード ラスト・デイ』

と言うほどでもないが、期せずしてブルース・ウィリス出演作を立て続けに観ることになった。 ていうか彼の出演作は毎年2〜3本は観ている気がするけど。と言う事で 『ダイ・ハード ラスト・デイ』 いやーアイマックスシアターは良いね。一部には「あれはアイ…

リンゴを齧ってみた。

という事で長年使ってきた我が家のノートPCが最近暴走気味になったこともあり、これを機にmacに乗り換えをしてみましたよ。5年ほど前に買ったinspiron1520君もなかなか頑張ってくれましたが、色々と疲弊してきたようで内蔵スピーカーがイカレてしまったりと…

 eye of the tiger 俺は虎の目をしているか。 『ライフ・オブ・パイ』

二十歳くらいの頃だったか、友人が「時に美しい芸術は、見るに堪えない環境から生まれる」みたいな事を、もちろんもっとくだけた言い方で飲みながら主張していたことがあった。 まあ、なんとなくわかる気がしないでもない。という事で 『ライフ・オブ・パイ…

気がつけばもう2月。忘れた頃の2012ベスト。

すっかりblogを書くのを忘れていた。 映画の感想メモもさぼりがち。 という訳で、忘れないうちに2012のベストくらいはまとめておきたい。 と言ったものの今更感もぬぐえないので、とりあえず順不同で10本だけあげておく。 各々のコメントはなし。・ドライ…

「会場の良い子のみんな!もっとウルトラマンに声援を!」 ももクリ2012 さいたまスーパーアリーナ大会 1日目

そういえば『悪の教典』と『スカイフォール』を観たんだけど、blog書くのを忘れていた。 正直、今更と言う感じなので気が向いたら書くということにしようか。と言う事で 『ももいろクリスマス2012 さいたまスーパーアリーナ大会(12/24)』 に行ってきました…

 紙幣が映ってるだけなのに妙に美しいのは何故か。 『カリフォルニア・ドールズ』

人間の記憶ってのは曖昧ですね。 なんて別に改めて言う事でもないけれど。昔読んだ本、観た映画に関する記憶は「面白かった」とか「とてつもなく心動かされた!」といった印象を持っていたとしても、1回しか読んでなかったり観てなかったりするもので、改め…

プロの矜持が輝く瞬間の美しさ。『アルゴ』

だからといってイランのアメリカ大使館に「消耗品たち」がやってくることはなく。と言う事で 『アルゴ』冒頭のワーナーブラザーズの昔のロゴが粗い画質で出てきたときから70〜80年代へ引き込まれる。 これからクリント・イーストウッドの映画が始まるかのよ…

バカばかしい事をやるにも格というものがあって…。『エクスペンダブルズ2』

やっぱり「コン・エアー」より「ザ・ロック」の方が好きなんだよね。と言う事で 『エクスペンダブルズ2』ラストのクレジットに流れた某曲だけはいただけなかったが、前作はとにかく楽しくてそれでいてスタローンの手練のようなものも感じて、よくできたエン…

怒鳴らない人が放つ不気味なオーラ。 『アウトレイジ ビヨンド』

公務員だってタトゥーをしている時代、もはや見た目だけで「その筋」の人がどうかなんて判らない。それが何しろコワイ話であって。 とは言えやはりそういった人には得体のしれないオーラが出てるんだろうな、とも思ったり。と言う事で 『アウトレイジ ビヨン…

あの頃に戻るのはイヤだから。『ボーン・レガシー』

魔法の薬でキリキリ頭が良くなったり、理想の体型になったり、そんなことは夢物語な訳だけど。 まあしかしそうやって変身した自分は果たして誰なんだろうか? なんてね。と言う事で 『ボーン・レガシー』ボーン・シリーズの新作、と言っていいのかどうか正直…

フォークリフトのハンドルさばきと暗い瞳。『夢売るふたり』

確かに子供の虐待事件のニュースなどを見ていると「ホント、両親のどっちかが止めようとは思わなかったのか」と言いたくもなるもので。 しかしもしかしたら当事者たちも同じような事を言っていたのかもしれない。と言う事で 『夢売るふたり』特に観る気はな…

デンゼル・ワシントンの目は凄い。『デンジャラス・ラン』

9月8日(土) きょうは墓参りをするのでおばあちゃんの家にいきました。おばあちゃんのうちは広島の田舎にあります。 おばあちゃんのうちはお父さんの実家だけど、お父さんはここには住んでなかったみたいでした。 ややこしいです。 おばあちゃんのうちは東…

 モンペアは世界共通。 『ぼくたちのムッシュ・ラザール』

広島へ行くと必ず寄るようにしている場所がいくつかあって、ここはそのひとつ。 サロンシネマ。 十代の頃、かなりお世話になった。 という事で 『ぼくたちのムッシュ・ラザール』 とりあえず時間が合うというだけの理由で観たんだけど、これがなかなかの佳作…

 この肌にまとわりつく感覚は何だ。 『桐島、部活やめるってよ』

高校の頃、留年して同じクラスになった1歳上の人がいて、どうしても浮いた存在になってしまっていた。そんな彼とは、たまに映画の話なんかしてそれなりには仲良くなっていたんだけど、あるきっかけを境に仲たがいしてしまった。原因は覚えてないんだけど、最…

 センチメントな錯覚も悪くない。 『プロメテウス(3D)』

『ハンニバル』を観た後に無性に肉が喰いたくなって、帰りに肉汁たっぷりのハンバーグをがっついた事を思い出したりして。と言う事で 『プロメテウス』 リドリー・スコットが『エイリアン』の前日譚を撮る、というニュースはやはりそれなりに盛り上がるもの*…

この任務が終わったらサイン貰うんだ…。『アベンジャーズ』

例えば「デビルマンvsマジンガーZ」なんていっても実際にデビルマンとマジンガーZが闘うことはなかったりして、子供ながら何となく騙されたような気持になった事を思い出してみたり。と言う事で 『アベンジャーズ』 キャラクター総出演作品らしい、登場人物…

 2012サマソニメモ、らしきもの。

すっかりコンテンポラリーな音楽事情から遠ざかってしまっていて。 特に最近の洋楽関係はほとんどノーチェック状態。直近で行ったliveが5月のモリッシー、その前がノエルですからね。 10年以上時間がストップしている感じです。と言う事で去年に引き続きサマ…

自己犠牲の美しさを犠牲にしてまでも。『ダークナイト・ライジング』

例えば、ももいろクローバーZの「Z伝説」のメッセージはとてもシンプルで、もっと言うなら幼稚ですらあるわけだけど、何故か泣けてしまうという。 震災以降のメッセージとしての「負けない」とか「強くなる」という単語は確かにスポイルされていて、半ば斜に…

エド・ハリスのオーラが映画を救った…か? 『崖っぷちの男』

何だかんだで約一か月ぶりの映画。 その間は、工場夜景撮影でプチ遠征に行ったり野球を観に行ったりしていた。 そうこうしている内に話題作・期待作が目白押しになってきたりして。と言う事で 『崖っぷちの男』基本的に鑑賞した直後に感想を記すことを自分に…

出来ない約束はしない。でも卵は買ってきたよ。『アメイジング・スパイダーマン(3D)』

ドラマでも映画でも小説でも良いんだけど、ストーリーの定型として「すれ違う気持ち」が描かれることが多い。 「自分がいると彼女(彼)のためにならない。だからあえて身を引く」みたいなね。 月9(って例えが古いねしかし)で言うと最終回の2話前くらい…